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 結局、ポルシェは、ふたたび新宿駅の東口に停まり、そこで河合良子をおろした。 「くそ。ぐるりと一周しただけか」 「あたし、河合良子を追うわ」  マリは言いすてて、車を降りた。  河合良子はポルシェのドアをしめると、もう運転席にいる男を見向きもせずに、駅の構内に向っていく。マリがその後を追った。  ポルシェは河合良子をおろすとすぐに、走り出した。甲州街道の下をくぐって、新宿駅の南側に出る、細い道を進んでいく。野々山は運転席に移って、ポルシェの後を追った。  ポルシェは細い道を進んで明治通りに出た。そこから右折して、渋谷の方向に進んでいく。  野々山には、ポルシェの男が、なんのために河合良子を車に乗せたのか、わからない。  考えられることは、一つだけだった。男と河合良子が、会談の場所として、走る車の中を利用した、ということである。  もし二人の話の内容が、密談というふうなものであったとしたら、そのための場所としては、まことにうまい選び方をしたものだった。  ポルシェは明治通りと表参道との交差点を左折して、青山通りに出た。  青山通りを突っ切ると、すぐに右折して細い道に入った。  マンションらしい建物がいくつか並んでいた。  ポルシェはその建物の一つの門の中に、やがて消えた。門柱にサンハイツ青山という表札があった。  野々山はその門を過ぎたところで車を停めた。すぐに車を降り、マンションの門の前まで引き返した。  派手な格子柄のジャケットの男が、マンションの玄関を入っていくのが見えた。ポルシェは駐車場に停めてきたものと思えた。  野々山は思いきって、マンションの門をくぐった。  玄関のガラスごしに、男のうしろ姿が見えている。男は入口のすぐ横手の壁の前で足を停めた。メールボックスの前らしい。
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