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null 待ってくれ、とケアルは軽く手をあげて口をはさんだ。 「問題は責任の所在じゃない。その男が、若い屈強《くっきょう》な島人たちを集め、油の入った壺をそれだけ集めて、何をするつもりなのかなんだ。どこかを襲撃するつもりならば、我々は事前にそれを阻止しなければならない」  若領主の言葉に、全員が真剣な面もちでうなずいた。 「——これはちょっと、憶測でしかないんですが……」  それまで黙っていたオジナが、初めて口を開いた。 「油が入った壺は、十個あるんですよね。それだけの壺を運べば、かなり目立つはずでしょう? だとすればそんなに遠くまで運ぶつもりはない、と思いませんか?」  オジナの提言を聞いて、全員が一斉に立ちあがり、大卓にひろげられたハイランドの地図をのぞきこむ。 「ラキ・プラムの話では、現在かれらがいるのはこの島だ」  ケアルが地図上の一点を指さした。全員の視線がその周囲に向けられる。 「その付近で、襲撃を受けるとしたら……港ですね」 「いや、それはないだろう」  すぐさまケアルは否定した。男は港のあるラキの島をはじめ、デルマリナ船に水を売っている島々へ人集めに来たのだ。港があるからこそ収入を得ることができるかれらが、たとえ高額の報酬をちらつかされたとしても、港をつぶすような仕事に荷担することはないだろう。 「だとしたら……」  全員の視線が、地図上のライス領内にある茶葉の栽培農場へ向けられた。農場には茶葉を加工する工房も建てられている。 「そういえば男は、茶葉の栽培に人手が欲しいと言っていたそうですね」 「それなら集めた男たちを連れて農場へ向かっても、だれも不思議には思わない……」  家令たちは互いに顔を見合わせ、続いてケアルへ視線を向けた。 「——人を集めてくれ。ラキ・プラムに案内させて、一刻も早くその島へ向かうんだ」