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null「イリヤがぶーたれてた。わたしを顎で使うなんて信じられないとかで」 「そうでしょうね」  何でもない軽口に、キャスターは何でもないように答えた。まじめな雰囲気は崩れない。 「明日か、明後日か、アーチャー達との戦いは壮絶なものになるでしょう。私があの小娘の家に押し入ったときのことを考えてもらえれば、わかるでしょう?」 「ああ、あの剣幕で襲われたらさすがに肝が冷えるよ」 「だから、その前にお話したいことがあります」  背中が冷えた。キャスターがどんな顔をしているのか手に取るようにわかる。きっと不安に唇を震わせて、崩れそうになる何かを必死でこらえている。それは、「私は貴方を裏切った」と告白したあの日のような、弱々しい気配。 「貴方の願いを教えてください、志貴」  真摯な言葉を、茶化すことなどできない。 「聖杯を手に入れて、妹を──秋葉を人に戻すことだ」 「ならば、今すぐに──」 「待て、何を言おうとしてるんだおまえ」  キャスターは口をつぐんだ。それはきっとキャスターにも覚悟が必要なことなのだろう。こんなときに目が使えない自分の不甲斐なさが、頭にくる。  表情さえ見ていれば、きっとその先は絶対に言わせなかった。  聞いてはならない言葉を、キャスターは今から口にしようとしている。なら止めなければならなかったのに、 「簡単なことですよ。志貴、今すぐその妹のところへ帰りなさい。この戦争では、貴方の望むものは手に入らないのだから」  止めることができなかった。 「そう──か」