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「この前の春に、ぼくもはじめて招かれたが、あれは見事な桜だったな」  樹さんは遠い目をして、そういった。そんなに見事なのかね。  樹さんの家は海につきだすように建っていた。ガラスをふんだんに使ったモダン建築だ。クルーザーで玄関先にまで乗りつけられるなんて、かっこいい。 「お帰りなさい」  出迎えてくれたのは、巨乳美人だった。グラビア系アイドルになれそう。 「かれが神名綾人くんだ」 「いらっしゃい。わたし、七森小夜子」  そういって彼女は微笑んだ。とつぜん来たのに驚かないところを見ると、話はすでに聞いているらしい。あれ? この人の声どっかで聞いたことがあるような気がするなあ。あの検査の最中だったかも。検査のことを思いだして、胃のあたりがすうっと冷たくなった。  そのとき、おれたちの横を久遠がすりぬけるようにして、上がっていった。 「あ、久遠さん。荷物……」 「いいの」  久遠はそれだけいうと、七森さんにくるりと背をむけ、重そうな荷物をかかえて上がっていってしまった。  見送る七森さんの目はきつい。このふたり、うまくいってないのかな。  おれの視線に気づいた七森さんは、ごまかすように微笑みを浮べた。 「これ、D1アリアの録音ディスクだ」  樹さんが七森さんにディスクを渡した。 「新曲ですね」
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