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 北原は機嫌よく笑った。気がつくとカレーライスはすっかり冷えていた。 「わたしも、ペコペコよ」  陽子も笑った。北原は早速スプーンに山盛りすくって一口入れたが、ちょっと考える顔になった。 「陽子さんが、お返事を下されば、こんな長いこと悩まずに済んだのですよ」 「ほんとうにね。ごめんなさい」 「今朝年賀状を見て、ぼく飛んできたんですよ」 「あら、そんなに遅く?」 「郵便事情が悪いですからね。ようし、今度は遠慮しないで、じゃんじゃん書きますよ。考えてみると、ぼくも悪かった。どうして手紙を返したかと一言あなたに書けばよかったわけですからね。だけど、つき返されたショックで、そんな元気なんかなかったのは仕方ありませんよね」 「とにかく、わたしが悪いのよ。お便りいただいてお返事を書かなかったのですもの。でもわたし、何となく書けなかったの」 「仕方がない。もう許してあげます」  北原はあかるく笑った。みるみるうちに北原の皿は空になった。 「まだ足りないでしょ? わたしが何かごちそうしましょうか」 「年下の人からおごられるのは気がひけますよ」 「そのお言葉はなかなかご立派よ。女の人からとおっしゃらなかったから」  二人は顔を見合わせて笑った。何ということのない会話でも、二人には楽しかった。 「何になさる? ビフテキ?」 「ビフテキはこりごりですよ」  北原は、夏枝と一緒においしく食べたビフテキが口惜しかった。
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