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ルイヴィトンモノグラムパンプキンドットヤヨイクサマジッピーウォレットブルーm60448編集

 死体を運び出そうとする司祭たちに気づいて、上空を舞う烏《からす》の群れが騒いでいる。  その光景はキリストの受難というよりも、カウカソス山に縛りつけられたプロメテウス神の物語を想起させた。ギリシャ古典に描かれた彼《か》の神は、神々の叡智を盗み出して人類に与えたことで主神の怒りを買い、生きながら大鷲に食われ続けるという罰を受けたのだった。  司祭たちは、ようやく死体に手が届く高さまで樽を積み終えたところである。 「——あまり巧いやり方だとは思えません」  チェチリアが漏らした言葉に、侍女は冷たくうなずいた。 「そうですわね。三階の窓から縄で引き上げるほうが早かったでしょうに」 「いえ、そうではなくて」  窓枠に手をかけて、チェチリアは苦笑した。 「もしも、アッラマーニ殿が亡くなったのが本当に天使の仕業《しわざ》なら、彼の死は神の意思ということになりませんか?」 「ええ——まあ、そうなりますわね」 「だったら祝福こそすれ、悲しみ恐れる必要はありません」 「——はあ」 「ですが司祭様たちは、危険があるといけないのでなるべく部屋から出るなと仰っています」 「それは、あの方たちも、天使が人を殺したなどと本気で信じてるわけではないのでしょう」  あっさりと侍女は答えた。愛想のないフェデリカだが、存外に頭は切れるのだ。  嬉しくなったチェチリアは、勢いこんで話を続けた。 「そう——でもアッラマーニ殿が人の手によって殺されたのならば、犯人は今もお屋敷の中に残っているということになるでしょう」 「それは、まあ、昨日はあの天気でしたからね」
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