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「趣味なのよ。道楽でやってるんだわ」 「でも、よく勉強してるなあ」 「勉強じゃないのよ、ああいうのは。遊びでやってるだけ」  浜田はふんと鼻を鳴らした。 「ぞっとするよ」 「あら、どうして」 「遊びであんな勉強をする人がいる。俺なんかとてもだめだな」 「あんなこと、いくら知ってたってなんにもならないわよ」  敏子は励ますように言う。 「そうでもないさ。人間はいろんなことを知っていたほうがいい。現に君だって面白がっていたじゃないか。俺も君にああいう目の色をさせるような話ができるようになりたいよ」 「南川さんは南川さんよ。どうしてあなたは近頃そう人のことばかり気にするようになっちゃったの」  浜田は大きく息を吸った。お前という女のせいだ……そう言いかけてやめたのだ。 「自分のできることだけをして、そのほかはじっと他人をみつめてるのがあなたのいいところなのよ。そういうあなたって、とってもすてきなのよ。あたしたちを相手に、南川さんは得意になって喋ってたけど、考えようによってはみっともないことだわ」 「どうして」 「ああいうことについて、もっとよく知っている人はいくらでもいるわ。南川さんの本職は絵でしょ。絵のことならいくら喋ったっておかしくないけど、専門外のああいうなまはんかな知識をふりまわしてるところを、ちゃんとした人が見たらとってもみっともないと思うでしょうね。もっとも、そばにそういう人がいたら、南川さんだってあなたのように黙って聞き手にまわるでしょうけどね」 「それにしても、俺よりずっとよく知っている」 「知ってることだけを喋ってるのよ」  敏子は叱るように言い、煙草をだして火をつけた。
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