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2015-01-26 20:55    ヴィトン エピ アルマ
 片柳は起き上がって、うしろから阿佐美に躯をつないだ。  事が終ってから、片柳はトイレに立った。彼が寝室から出たとき、廊下の先のトイレのドアが開いて、長女のみちるが中から出てきた。一瞬、片柳はあとじさって寝室の中に身を隠そうとした。反射的に躯がそのように動きかけたのだ。  みちるは髪が乱れていて、半ば眠ったままのような顔をしていた。頬がうっすらと上気していて、つややかに光っていた。父親と娘は無言のまま廊下ですれちがった。  トイレに入ってドアを締めたとき、片柳は咄嗟《とつさ》にみちるの眼から逃れようとしたわけを納得した。彼は、終ったばかりの阿佐美との狂ったような一連の淫らな行為を、みちるに見られていたような思いに襲われたのだ。  しかし、そうした行為を娘に愧《は》じる気持は、湧いてこなかった。自分の心が何かひどく遠いところにさ迷い出てしまっているような思いが、ぼんやりと湧いてきただけだった。 「中野坂上にちょっと寄っていきたいんだ」  ハイヤーが走り出すとすぐに、片柳は運転手に言った。彼は酔っていた。その夜は彼は社用で客を接待する立場とは逆に、接待される側にいた。帰りのハイヤーも、接待してくれた取引会社が呼んでくれたものだった。  時刻は午前一時をまわっていた。柏木節子が店の仕事を終えて部屋に帰っているかどうかはわからなかった。その夜も片柳は、自分が節子の住んでいるマンションの前で引返すことになるのだろう、とどこか他人事のように考えて、そういう自分を嗤っていた。  車のフロントガラスの先に、マンションの建物と、暗い坂道が見えてきたとき、片柳は車を停めさせた。坂道を歩いて登ってみたい気持に駈られたのだ。  片柳はハイヤーをそこに待たせておいて、だらだらと登っている坂道をゆっくりとあがりはじめた。なぜそういうことをしたくなったのか、片柳にもわからなかった。夜ふけに惚れた女の部屋を訪ねようとしている不良中年といったイメージも気分も湧いてはこなかった。だが、酔ったままフラフラと歩くのは、気分が解き放たれる気がした。  まもなく坂を登りつめるというあたりで、一台のタクシーが片柳を追い越していった。タクシーはマンションの前で停まった。片柳は少し胸をはずませた。そのタクシーの客は節子ではないか、と思ったのだ。もしそうなら、今夜はそこから引き返すことはせずに、節子の部屋まで行ってもいい、と彼は思った。  タクシーから降りたのは女だった。顔は見えなかった。女はマンションには入らずに、片柳のほうに向って坂を下りてきた。 「やっぱり片柳さんだったのね。車の中から見たとき、そうじゃないかと思ったの」  坂の上から節子の声が投げられてきた。片柳は返事はせずに、節子が立ちどまっているところまで歩いていった。 「とうとう来ちまった。いま帰り?」 「そうなの。わたしに逢いにきてくれたの?」 「お茶をご馳走になりたいと思ってね」