エルファニング
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null「さ、始めるべ。また叔父さんの雷が落ちっからな。叔父さんば怒らせたって、おれたちの生活がよくなるわけでもない」  耕作は黙って立って行って、藪の傍で立ち小便をした。山の下に、学校に行く沢が見える。清水の沢の道も見える。その道が学校のほうから来る道と目の下で一つになる。そして白っぽい道が右のほうに伸びている。その道を男の子が一人、歩いて行くのが見える。のどかな眺めだ。が、耕作は、 (眺めだけがのどかだ)  と思う。農家の子供は、学校に行かないうちから、草取りだって、苗運びだって手伝う。  耕作はさっきの薯畠に戻って、三つ鍬を取る。ぱっと鍬を入れる。さっと鍬を引く。薯がころがる。 (国ば引っくり返す考え……?)  そこのところがどうもわからない。日本には農民も漁民もたくさんいる。安月給の労働者もたくさんいる。そういう人たちが、もう少しましな生活ができないかと考えることが、どうして国を引っくり返すことになるのか。どうもわからないのだ。みんなが幸せになれば、それは国が栄えるということではないのか。仁《にん》徳《とく》天皇は、小高い所から町を見、どの家からも煙が立っているのを見て、 「朕《ちん》既に富めり、民のかまどは賑《にぎ》わいにけり」  と言ったと、学校で習った。学校で教えるほどのことだから、正しいことだろう。仁徳天皇が喜んだと同じことを、おれたちは考えている。 (修平叔父さんは変わってるからな)  耕作はまだ腹が立っている。腹が立つと、なぜか仕事が捗はかどる。長い畝をたちまち掘り起こして、次の畝に移る。 (仁徳天皇なら、やっぱしおれたちの気持ちわかるべな)  それにしても、こういうことを口に出すと、なぜ警察が曳《ひ》いて行くのか。それも耕作にはわからない。 (別段、ロシヤの革命みたいに金持ちはぶち殺せなどと言ったわけじゃない)  第一、耕作は殺伐なことが嫌いだ。蛇を見ても、殺す気になれない。そんな耕作だから、どんなことがあっても、人を殺すというのはまちがっていると思う。手段を選ばぬという言葉があるが、正しい目的には正しい手段というものがある筈だ。もし人を殺すとすれば、それは目的がまちがっていると少年の耕作は思う。が、こう考えること自体悪いことなのだろうか。人の考えを、警察が取り締まるというのも、耕作にはふしぎな気がする。人間には口がある。口で話し合えばいい。修平叔父のように、大声を出して怒鳴るのもまちがっていると、つい修平のほうに耕作の不満は行く。 (おれたち、怠けていて貧乏なら仕方がないけどよ)  足元に次々ところがり出る薯を見ながら、耕作は器用に鍬を使って行く。 (学校に行く前も、帰って来てからも働くんだからな)