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「だめだ、陽子さん。君は犯人の子なんかではないっていうのに……」  不吉なものを感じて、北原は陽子を強く抱きしめた。陽子はされるままになっていた。 「陽子さん! 君はおかあさんなんかの言葉を信じているの?」 「心配なさらないで。犯人の子でも、そうでなくても、とにかく同じことなのよ、北原さん」  陽子が淋しく笑った。 「冗談じゃない。同じことじゃないよ。大ちがいだ」  北原は陽子が何を考えているのか、はかりかねた。にわかに陽子と言葉が通じなくなったような感じだった。鳩時計が四時をしらせた。北原はこのまま陽子をおいて帰るのが不安だった。 「外へ出ませんか? お茶でも飲んで、今のおばさんのヒステリックなたわごとは、忘れてしまいませんか」 「どこにも行きたくありませんわ」  陽子は何かを考えている表情でいった。 「まさか……」 (死んだりはしないでしょうね)  いおうとして、北原は口をつぐんだ。言葉に出すと、何だか陽子がほんとうに死んでしまうように北原は思った。いま、陽子は自分のどんな慰めの言葉も受けつけないように北原は思った。 (一番感じ易い年ごろだというのに……。ひどいことをいったものだ)  北原は、夏枝に対する憎しみをこらえきれなかった。北原は陽子のほおを両手ではさんで上に向けた。陽子はされるままになっていた。北原はそっと唇を近づけて、陽子をみた。陽子の白っぽく乾いた唇がいたいたしかった。北原は顔をはなした。今はくちづけすることもできなかった。  冬休みの間は、三度の食事の支度は陽子がしていた。しかし、その日の夕方は五時をすぎても、陽子は茶の間に顔を出さなかった。四時を少し回ったころ、北原が玄関で何かくどくどと陽子に話しているのを聞いたが、夏枝は送りに出ていかなかった。  そのあと、陽子は外出した気配がなかった。多分、自分の部屋にひきこもっているのだろうと夏枝は思っていた。
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